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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年1月15日月曜日

【文献紹介】腱板断裂における肩甲骨・肩甲上腕関節の動態解析

本日紹介させていただく文献はMRIを用いて肩関節の動態について検討された文献です。


建道寿教他:腱板断裂おける肩甲骨・肩甲上腕関節の動態解析−Open MRIを用いた検討−.肩関節27(3):425−429,2003

目的は腱板断裂における肩甲骨の傾き・動態について3次元的に検索し、第2肩関節での腱板の通過状態を調べることです。
対象は腱板断裂症例(腱板断裂群)15例、健常者(健常群)15例です。腱板断裂群は全例120°以上挙上可能で、術後症例です。
測定はOpen MRIを用いて行われています。
測定項目は上方回旋角、内方傾斜角、前後傾斜角、3D AHIです。
結果は以下の通りです。
上方回旋角:腱板断裂群では肩甲骨の上方回旋が挙上早期に増加する傾向がみられました
内方傾斜角:健常者と腱板断裂症例に置いて統計学的有意差は認めませんでした
前後傾斜角:腱板断裂症例において後傾への変化が少なかった
3D AHI:腱板断裂症例は健常者と比較して小さくなっていました(最小値を示したのは90°挙上位)
本研究の腱板断裂群は拘縮の強くない症例を選択し、下垂位にての状態も正常群と比較し有意差がないものと考えたと述べています。
断裂群において肩甲骨の後傾不良という結果が得られたが、これは拘縮や内圧により影響されるものではなく、腱板断裂という肩甲骨の上腕骨を連結させる筋腱の機能不全やimbalanceにより引き起こされる現象の一つであると考えられたと述べています。



今回紹介させていただいた文献の対象は拘縮が強くない症例でした。それでも肩甲骨の動態は肩甲骨の後傾は健常者と比較して小さい値を示し、有意差を認めていました。
健常者では挙上に伴い、後傾方向への運動が円滑に行われ、肩峰下腔に余裕があるが、腱板断裂症例においては後傾方向への変化量が少なく、肩峰下腔の狭小化が認められたと過去に報告されています。これらの報告からも肩甲骨の後傾可動域の獲得重要であることが分かりました。




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