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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年11月11日土曜日

【文献紹介】膝蓋下脂肪体の組織弾性が膝前部痛に与える影響

本日紹介させていただく文献は、膝蓋下脂肪体(IFP)の組織弾性が膝前部痛に与える影響についてです。



小野ら:膝蓋下脂肪体の組織弾性が膝前部痛に与える影響,東海スポーツ傷害研究会会誌.2013


本研究ではしゃがみ込み動作時の膝前部痛とIFPの組織弾性に関連があるか否かを検討されています。
対象は膝関節に疼痛の既往がない5膝(健側郡)と、オスグットシュラッター病もしくは有痛性分裂膝蓋骨と診断された10膝を対象とされています。さらにその中でもRf、VL、TFLに対する治療後、疼痛が完全に消失した群としゃがみ込み動作時に膝前部痛が残存する群とに分類されています。
測定は膝関節0°、120°、最大屈曲位として、膝蓋骨尖、膝蓋靭帯、脛骨粗面を描出した上でIFPの組織弾性を計測されています。

結果は疼痛残存郡において膝関節0°~120°に対して最大屈曲位で有意にIFPの組織弾性値が高くなったと報告されています。

IFPは膝関節運動に同調して変形する柔軟な組織です。他研究では膝関節伸展位で最も内圧は高く、屈曲110°程度からまた高くなるとも報告されています。そしてこの研究の結果を踏まえると、膝関節最大屈曲位でIFPの組織弾性が高値を示していることから、IFPの内圧上昇には周囲組織の影響も関与していることがわかります。
IFPの周囲には膝蓋支帯や膝蓋靭帯が位置しているため、臨床においてこのような症例を経験した際には、痛みを出している組織だけでなく、周囲組織に対しても細かく評価することが重要であると思います

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