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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年11月6日月曜日

【文献紹介】小胸筋の停止についての解剖学的研究

本日紹介させていただく文献は小胸筋の停止腱がどこまで延びているかを観察した文献です。

吉村英哉他:小胸筋の停止についての解剖学的研究.肩関節31(2):217-219,2007

対象は解剖遺体41体81肩です。小胸筋の烏口突起への停止部を調べ、その停止腱全てまたは一部が烏口突起を越えて入る例については棘上筋を切除して小胸筋の停止腱延長部の形態と停止を詳細に調査しています。
結果は小胸筋停止腱が全部または一部が烏口突起を越えて棘上筋の下に入り込んで入る例は28/81肩ありました。
小胸筋の停止腱が全幅延長腱となっていたのが21.4%存在していました。
小胸筋の停止腱の一部が延長腱となっていた例のうち、烏口突起上に達した小胸筋腱の中間部のみ延長していた例が17.9%、外側1/3〜3/4部が延長していたものが53.6%、内側1/2部が延長していたものが7.1%でした。
烏口突起を超えて延びた腱は大結節に向かうもの、関節窩後上縁に向かうものが観察されました。いずれの場合もこつに直接付着せず、関節包に付着していました。筆者らはこれを3つに分類しています。
Ⅰ型:大結節に向かって延びている
Ⅱ型:関節窩後上縁へ向かうもの
Ⅲ型:関節窩後上縁と大結節の2方向に別れて広がって入るもの
過去の報告からも小胸筋の延長腱が30%を超えており、頻度として少ないとは言い難く、今回の検討で小胸筋腱が全幅にわたり延長腱となっていた例からも小胸筋の収縮が直接肩関節の運動に関与していることが考えられると筆者は述べています。

小胸筋腱が延長している例は全症例ではありません。担当している患者さんが小胸筋停止腱が延長してる症例であるかどうかもわかりません。中にはこのような構造をとる症例が存在して入るということを頭の片隅に置いておくことも必要であると感じました。

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