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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年2月16日木曜日

【文献紹介】棘上筋腱の線維移行形態について

 本日は、付着部における棘上筋腱の線維移行形態について報告されている論文を紹介します。
中島知隆ら:棘上筋腱の線維移行形態.肩関節18(1): 19-25, 1994.

 棘上筋は肩甲骨の棘上窩から起始し、烏口肩峰靭帯の下を通過したのち大結節の前面に付着する筋です。棘上筋の付着部は棘下筋などと腱板となることや、大結節の前面の中でも前下方よりに付着することが知られています。隣接する軟部組織は棘下筋や肩甲上腕靭帯など存在しており、これらは複雑な構造となっています。
 本文献は、棘上筋の付着部に関して腱の三次元構造や棘下筋との相互関係を明らかにすることを目的としています。方法は腱板の加齢的影響が少ない比較的低年齢のご遺体を対象に、肉眼的及び顕微鏡下にて観察されています。
 棘上筋の前方部は線維密度が密であり縦走線維群を構成されるとされています。棘上筋の中央から後方部は線維密度は疎となっていますが、棘下筋腱を覆いながら層を成して付着するようです。また、棘上筋腱の付着部を観察すると後方部に比べ前方部は約2倍の厚さであったとされています。
 このことから、棘上筋の中でも前方部は棘上筋としての機能を発揮しやすく、後方部は棘下筋と複合的な機能を発揮すると考えます。棘上筋の機能を評価する際には、この構造を元に病態の推論を立てていきたいと思います。
 

投稿者:中井亮佑

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