COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年1月29日日曜日

第114回京都支部定例会

昨日、第114回京都支部定例会が行われました。
今回は京都下鴨病院の團野翼先生による「大腿骨頸部骨折に対する運動療法の考え方」のレクチャーでした。







骨折の分類など基礎からレクチャーしていただきました。実際の症例のレントゲン画像を用いてGarden分類ではどのくらいで、どのような手術療法が適応になるのか、Singh分類ではどのくらいかグループに分かれて検討しました。骨折線の位置をレントゲンのみで判断できないところもあり、Garden分類ⅠやⅡであってもすぐにわかるようにたくさんレントゲンを見る必要があるなと感じました。
また術後の運動療法では歩行能力の再獲得が重要になります。術前の歩行能力までは獲得する必要があるため、術後の歩行において何が阻害因子となっているのかを見極める必要があります。

大腿骨頸部骨折、転子部骨折の症例を担当する際にはレントゲンから軟部組織損傷、骨密度、術後の状態を読み取り、術前までの歩行能力は確実に獲得できるように努めていきたいと思います。


次回の定例会は3月25日です。
4月22日に行われます整形外科リハビリテーション学会の特別講演にむけて、
京都下鴨病院の為沢一弘先生による「股関節鏡手術の実際」について講義していただきます。
また次回より勉強会の参加には事前申し込みが必要となります。
定員24名で先着順となりますのでお早めにお申し込みください。



本年度の定例会開催スケジュール


今年の京都支部の定例会開催スケジュールです。
3月の定例会より、定員を先着24名にしぼって開催予定です。
開催場所は京都下鴨病院 2階 リハビリ室です。
参加申し込みは3月1日から開始予定です。
お申込みは定員に達し次第締め切らせていただきますので、お早めにお申込み下さい。




3月の定例会の内容は「股関節鏡手術の実際」です。
当会の親会が4月22日に名古屋で股関節鏡手術に関する特別講演を開催予定です。
それに先駆け、ご高名なDr.のお話が少しでも頭に入って来やすいように、股関節鏡手術の基礎についてのお話をさせていただきます。


10回の参加で来年のベーシックセミナーが無料になるLINE@のポイントも配布予定です。

皆様の参加を心よりお待ち申し上げております。
本年度も、当会勉強会をよろしくお願いいたします。

2017年1月26日木曜日

【論文紹介】超音波エラストグラフィーを用いた肩関節前下方関節包の弾性について

 本日は、超音波エラストグラフィーを用いた肩関節前下方関節包の弾性について検討された論文を紹介します。

武長ら:超音波エラストグラフィーを用いた青少年野球選手の肩関節前下方関節包の定量的弾性評価.
肩関節37(3):1189-1192,2013

 投球障害のメカニズムの一つとして、前下方関節包靭帯などの組織の弛緩によりインターナルインピンジメントが引き起こされ疼痛の誘因となることが知られています。また、手術所見によっても前下方関節包靭帯は弛緩を認めるとのことです。
 本日紹介する文献の目的は、超音波エラストグラフィーを用いて肩関節前下方関節包の弾性を計測することです。前下方関節包は上腕骨付着部と関節包実質部に分けて計測されています。野球の競技年数、投球側か否か、肩痛の有無、ポジションにて検討されています。

 結果ですが、多くの検討項目に有意差は見られないとのことでした。このことから、投球によって生じる前下方関節包の弛緩は超音波エラストグラフィーでは描出できないことがわかりました。前下方関節包の弛緩の程度は外転外旋強制などにより評価できるという報告もあることから、徒手的に評価することが重要であると思いました。

投稿者:中井亮佑

2017年1月24日火曜日

骨折の機能解剖学的運動療法その基礎から臨床まで

1/22(日)に運動器機能解剖学研究所の第1回講演「骨折の機能解剖学的運動療法その基礎から臨床まで」に参加しました。




 
「イントロダクション」 林典雄先生(運動器機能解剖学研究所)
「手術療法」 青木隆明先生(岐阜大学附属病院)
「画像から読む」 浅野昭裕先生(中部学院大学)
「運動療法」 松本正知(桑名西医療センター)


今回ご講演してくださった先生方がそろって講演されるのはとても貴重で、1日かけてとても興味深く、臨床に活かせるお話を聞くことができました。
午前中は上肢、午後は下肢についての講演でした。
手術ではどこに注意して侵入していくのか、場合によっては侵襲がくわわる部位など、術後の運動療法において癒着予防で考慮しなければいけない組織について確認することができました。
画像診断では、折れ方から骨に加わった外力、損傷している軟部組織の推測などレントゲンからどれだけ推測できるか、推測できるだけの画像診断能力をつける必要さを改めて感じました。
運動療法では評価する際に目を向けることができていなかった部分を知ることができ、とても勉強になりました。

今回の講演で骨折治療に対し着目すべき点、考慮すべき点など多くのことが学べました。
さっそく臨床に活かしていきたいと思います。

2017年1月12日木曜日

【文献紹介】大腿二頭筋の解剖について

 本日はAmerican Journal of Sports Medicineから大腿二頭筋の解剖について報告された論文を紹介します。

(文献詳細は図をご参照ください)

 大腿二頭筋は大腿の後面に位置する筋肉で股関節をまたぐ長頭と、大腿骨の殿筋粗面の遠位から付着する短頭から構成されます。起始部ははっきり分かれており把握しやすいのに対して、停止部は複雑な付着形態を持つのも特徴です。そこでご遺体を用いて大腿二頭筋の付着形態がわかりやすく報告されていたので紹介します。
 大腿二頭筋の長頭の停止は、二つの腱成分と三つの筋膜様成分に分かれて付着していたとしています。短頭の停止は長頭腱に合流する他、関節包や腸脛靭帯など幅広く付着していたとしています。

 文献内の写真、図ともにわかりやすく位置関係が把握しやすい報告でした。解剖知識としてインプットされましたので触診や治療に積極的に応用していきたいと思います。

投稿者:中井亮佑

【メディカルスタッフのための股関節鏡セミナー2017 in 京都】のご案内

セミナー開催のご案内です。



【メディカルスタッフのための股関節鏡セミナー2017 in 京都】

テーマ:股関節鏡の基礎と実際 〜股関節鏡適応症例の病態と術後運動療法〜
会 期:平成29年4月29日(土・祝)
    開場 午前9時30分 開始 午前10時 終了 午後5時
会 場:京都リサーチパーク サイエンスホール
    東地区1号館 4階 〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町134
参加費:医師 5,000 円 コメディカル 3,000 円
参加定員:230名
事前参加申し込みは1月15日(日)よりHASMS ウェブサイト内で開始されます。
(当日受付も御座いますが、定員に達していれば当日のお申込みはお受け出来ません。また、申込み定員に達し次第、事前受付も締め切らせていただきます


このセミナーは股関節鏡手術を第一線で行われている御高名な先生方と、術前後の理学療法を多く経験されているセラピストの先生方が一挙に京都に集結して、もてる知識と技術、実際の臨床での工夫などを披露してくださいます。密度が濃く、トピックスも盛りだくさんの内容になることは間違いないと思われます。
まだまだ診る機会の少ない手術であるとは思いますが、我々の周りにも股関節唇を損傷され、股関節痛を訴えている方は多くおられると思います。この機会に、股関節唇損傷やその手術適応・方法・運動療法について知識を深めてみてはいかがでしょうか。
ご興味をお持ちの先生方は、今週末から事前申し込みが開始となりますので是非とも参加してみてはいかがでしょうか。

2017年1月10日火曜日

【文献紹介】肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節からみた拘縮肩の病態

本日紹介させてただく文献は肩関節の疾患別にアライメント、疼痛、ROMなどを計測し、評価、治療について述べている文献です。



浜田純一郎他:肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節からみた拘縮肩の病態.肩関節(33)3:809-813.2009


対象疾患は凍結肩、糖尿病性肩関節拘縮、腱板断裂に伴う拘縮、慢性肩石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮で、検討項目は以下の通りでした。
①ROM(屈曲、内旋、外旋、水平内転)
②胸鎖関節の圧痛・他動運動時痛
③肩甲骨可動性(挙上、下制、内転、外転、下方回旋、上方回旋)、
④最大挙上時の肩甲骨下角の位置
⑤下垂位、挙上時の3DCT評価(肩挙上角度、鎖骨挙上角度、肩甲棘上方回旋角度)
結果は以下の通りであったと報告されています
①ROMは疾患別で有意差を認めない
②胸鎖関節の圧痛・他動運動時痛を認めた疾患は凍結肩と糖尿病性肩関節拘縮
③肩甲骨挙上、外転で疼痛が誘発される症例が多かった
④肩甲上腕関節に拘縮を認め、肩甲骨が過活動になっていたのが凍結型、腱板断裂に伴う拘縮肩、慢性石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮
⑤凍結肩と糖尿病性肩関節拘縮を比較すると凍結肩で鎖骨挙上角度が大きい、凍結型、腱板断裂に伴う拘縮肩、慢性石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮で肩甲骨上方回旋が大きい

凍結型、腱板断裂に伴う拘縮肩、慢性石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮の4群においては肩甲上腕関節で拘縮を認め、それを代償するために肩甲胸郭関節での可動性が大きくなると述べられています。糖尿病性肩関節拘縮においては異常コラーゲンにより軟部組織の伸張性の低下をきたし、肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節の可動性低下により肩甲胸郭関節にておいも可動性が低下したのではないかと述べられています。
評価については肩関節挙上位で3DCT撮影することで肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節の可動性を把握できると述べており、臨床に置いて簡便に評価する方法として最大挙上位での肩甲骨下角の位置を健患差比較する述べられています。

拘縮肩を治療するにあたり責任部位はどこであり、どの組織なのかを明確にすることはもちろんであり、その背景にはどのようなことがあるのかも知っておく必要があると感じました。

2017年1月6日金曜日

【文献紹介】テニス選手の手関節の特徴について

 本日紹介する文献は、テニス選手における遠位橈尺関節(以下、DRUJ)の不安定性についてです。

渡邊裕之ら:女子テニス選手における遠位橈尺関節不安定性と手関節筋力との関係.臨スポ24(2):235-241,2016.

 テニスにおいて手関節は肘関節や膝関節とともに高い外傷発生率であるとされています。その背景にはスピンを多用する選手が増えていることがあげられるようです。そこで、本論文はメディカルチェックの際に手関節の機能特性を調査し、DRUJの不安定性などについて検討されています。

 結果の一部ですが、全身弛緩性を認めなかったにも関わらず、DRUJが不安定であった選手が多く、その中でも非利き手に有意に多かったと報告されています。

 このことから、テニス競技を行うことでDRUJは不安定になることが推察され、障害につながることが考えられます。手関節に既往のある選手に関しては、DRUJの不安定性を評価し、不安定であればテーピング等でDRUJの不安定性を是正する事が重要だと思います。


 また、バックハンドストロークで使用することの多い非利き手に不安定性を認めたことから、フォアハンドストロークの際の利き手に加わるメカニカルストレスとバックハンドストロークの際の非利き手に加わるメカニカルストレスは異なることが推察されます。同じような動作に感じますが詳細に動作を見ることで違いがわかるかと思いますので、競技動作分析を大切にしたいと改めて思いました。

投稿者:中井亮佑

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