2017年6月開催−第117回定例会− 「腱板断裂修復術後再断裂を防ぐ工夫と考え方」

講師:團野翼 先生(京都下鴨病院)
日時:平成29年6月24日 土曜日 18時受付 18時30分開始
会場:京都下鴨病院2階 リハビリ室
定員:24名限定(要事前申込、先着順)
参加費:本学会会員無料、会員外500円
参加申込受付期間:6月1日から開催2週間前まで



2017年6月20日火曜日

【文献紹介】前十字靭帯損傷患者における片脚スクワット中の膝周囲筋活動の特性

本日は、ACL損傷後の片脚スクワット時の筋活動について述べられた文献を紹介させていただきます。
福田航他:前十字靭帯損傷患者における片脚スクワット中の膝周囲筋活動の特性.理学療法科学28(2).201-204.2013


対象はACL損傷患者9名の健患側と、健常人8名の利き足の合計26膝としており、損傷群は全てノンコンタクトでの損傷とされています。また、損傷群は脛骨前方引き出し量が健患差4mm以上有する者とされています。

測定項目は、片脚スクワット時における動作側の膝周囲筋の筋活動を測定されています。
筋活動の測定は、表面筋電図計を用いて行い、内側広筋(VM)・外側広筋(VL)・内側ハムストリングス(MH)・外側ハムストリングス(LH)を測定し、表出された筋電図データから%MVCを求めた。

結果は、%MVCにおいて、4筋全てが3群間で有意差を認めていました。
また、多重比較の結果からVMVLにおいては患側が健側と比較して有意に小さく、VLは健側がコントロール群と比較して有意に大きくなっていました。
反対に、MHLHでは患側が健側及びコントロール群と比較して有意に大きくなっていました。

以上の結果から、ACL損傷膝では、VLVMといった膝伸展筋の筋活動が低下し、LHMHといった膝屈曲筋の筋活動が大きいことがわかります。このことは、ACL損傷により靱帯による前方引き出し制動力が低下し、膝屈筋群の代償による制動が行われているのではないかということは容易に考察できると思います。


前回も述べさせていただきましたが、ACLR後の理学療法を行う際は、
・再建靭帯の修復過程を把握すること
・いつ頃から再建靭帯にどの程度のストレスをかけていけばいいのか
などといったことに注意しながら理学療法を進めさせていただいています。

筋力も同様に、STG法にて再建靱帯を作成した場合、半腱様筋や薄筋の修復を考慮し、いつ頃から筋力トレーニングを行うかなども考慮して理学療法を行う必要があると心得ています。

保存療法で行う場合は、どのような筋バランスであることが、患者様の膝関節同様を最小限にすることができるかを考えて、筋力トレーニングの負荷量や頻度の決定を行う必要があると考えています。

今回紹介した文献の他にも、ACL損傷後の筋力についての報告は多数あるため、さらに知識を深めていきたいと思います。



投稿者:高橋 蔵ノ助

2017年6月19日月曜日

【文献紹介】膝蓋大腿関節の接触圧力分布および膝蓋骨Trackingの同時測定システム




 本日は膝蓋大腿関節(以下PF関節)の接触圧力分布および膝蓋骨trackingを研究された論文を紹介させていただきます。





今井和実ら:膝蓋大腿関節の接触圧力分布および膝蓋骨Trackingの同時測定システム.日本臨床バイオメカニクス学会.Vol,14,1992


著者らは、2方向ビデオ撮影法による膝蓋骨trackingと、電気角度計によるTF関節運動、管電圧導電ゴムセンサによるPF関節部の接触圧力をそれぞれ計測されています。



結果の一部を紹介させていただきます。

膝蓋骨関節面上の接触領域は膝屈曲とともに近位へ移動し、90°以上の屈曲角に対して大腿四頭筋腱の大腿骨関節面への接触が見られました。

膝蓋骨への作用荷重は屈曲とともに漸増し、膝屈曲90°付近で最大となった後減少し、また、60°以上の屈曲角では大腿四頭筋腱部の作用荷重は膝屈曲に伴い増加したと報告されています。



今後もPF関節のバイオメカニクスについて勉強し、PF関節障害の患者さんを担当する際には、このようなPF関節のバイオメカニクスを念頭に置いて患者さんの主訴を聴取し、PF関節の圧を高めている要因をみつけて治療ターゲットを絞りたいと思います。


投稿者:鷲見 有香

【文献紹介】人工関節全置換術後の深屈曲時の下腿の回旋について

本日紹介させていただく文献はTKA後の深屈曲時の下腿回旋について検討した文献です。


渭川徹秀他:人工膝関節全置換術後の深屈曲時の下腿の回旋について.日本関節病学会誌32(4):449−453,2013

対象はPS型のTKAを施行した156膝です。自然下垂位と他動屈曲にて下腿回旋可動域を測定しています。
結果は以下の通りでした。
屈曲可動域→下垂位:約124° 他動:約136°
回旋可動域→下垂位:約3°内旋 他動:約4°内旋
わずかしか内旋しなかった症例や、外旋した症例を存在したと報告しています。

筆者は結果からTKA後の深屈曲の動態は正常膝で見られるような下腿内旋や外側への亜脱臼などは見られず、下腿回旋方向や量も異なるものであったと述べています。

TKA後の下腿の動態については様々な報告がありますが、機種や術後成績なども異なり、一定の見解が得られていません。
下腿回旋についてだけでも多くの論文があるので、何本も読んでどのような報告が一番多いのか、下腿が外旋する背景には何か因子があるのか調べて見ようと思います。

2017年6月17日土曜日

【文献紹介】大腿骨前脂肪体の柔軟性と筋力・膝関節可動域の関係性


【文献紹介】大腿骨前脂肪体の柔軟性と筋力・膝関節可動域の関係性

今回は大腿骨前脂肪体(PFP)の柔軟性が筋力・可動域に与える影響についての文献を紹介します。


水島 健太郎ら:50 回日本理学療法学術大会(東京)

 

本研究の目的は,超音波エコー(US)のShear Wave Elastography を用いて、健常高齢者群(N群)とTKA群のPFP柔軟性を評価し、TKA群のPFP柔軟性とROMおよび筋力の関係性を比較検討されています。

対象は,N 1522膝(男性5人、女性10人、平均年齢73.1±4.0歳)、TKA 1316膝(男性3人、女性10人、平均年齢70.4±9.4 歳)とし、大腿遠位部の長軸走査にてPFPを同定し、大腿直筋筋腱移行部と膝蓋骨上縁を結ぶ中点において短軸走査に変更した上で、PFPの組織弾性を測定されています。測定角度は、膝関節伸展位と90°屈曲位の組織弾性を各3回測定し、その平均値を算出、膝伸展筋力は膝関節90°屈曲位で5秒間の最大等尺性収縮を2回行い、平均値の体重比(kgf/kg)を算出し、算出したPFP柔軟性を群間で比較、またTKA群におけるPFP柔軟性と膝関節屈曲および伸展ROM、膝伸展筋力との相関を求められています。

結果は膝伸展位・屈曲位ともにPFPの柔軟性は有意に低下し、TKA群におけるPFP柔軟性と膝ROMおよび伸展筋力との相関は、PFP柔軟性と膝伸展筋力のみ負の相関が認められ、膝ROMPFP 柔軟性には相関が認められなかったと報告されています。

結果から、TKA後における膝蓋上嚢の癒着・滑走性の低下だけでなく、この深層に存在するPFPも膝の屈伸運動に関与していることがわかります。また、筋力との相関も認めていることからPFPの柔軟性低下によって、膝蓋上囊に付着する膝関節筋や、膝蓋上囊およびPFP周囲の広筋群の収縮効率を低下させることが、膝伸展筋力の低下につながっていることが考えられます。

このことから、膝蓋上嚢をアプローチしてもextention lagが改善されない・疼痛が残存するといった症例に対して、表層にある膝蓋上嚢を評価・アプローチするだけでなく、深層まで評価していくことが大事であることが分かり、左右差であったり、アプローチ後どう変化するのかなどの即時効果も求めていくことがアプローチしていくこと上で大事であると感じました。

 
投稿者:小林 駿也

2017年6月13日火曜日

【文献紹介】膝前十字靭帯再建術施行 1 年後の 脛骨前方移動量に関連する因子の抽出

今回は、ACLR後の脛骨前方移動について述べられた文献について紹介させていただきます。

池野祐太郎他:膝前十字靭帯再建術施行1年後の脛骨前方移動量に関連する因子の抽出.理学療法学28(5).681-684.2013





対象はSTG法にてACLRを施工され、second lookを行った10例で、全員受傷機転は非接触型とされています。

測定項目はACLR施行1年後の脛骨前方引き出し(ATT)の健患差、術前のハムストリングス/大腿四頭筋(H/Q比)、術前片脚スクワット時の膝外反角度、術後2w時の膝関節最大屈曲伸展角度とされており、ATTとそれぞれの測定項目との関連を検討されています。


重回帰分析の結果、ACLR施工1年後のATTに関連する因子として術前H/Q比、術前片脚スクワット時膝外反角度、術後2w時膝関節最大伸展角度が抽出されていました。

上記から、H/Q比が小さい・片脚スクワット時膝外反角度・術後2w時膝関節最大伸展角度が0°に近づくと、脛骨前方移動量は増加しやすいということが考えられます。


ACLはその形態や動態から、膝関節を安定させるために、様々な制限があります。非接触型ACL損傷を受傷された患者様の多くは、受傷時に膝外反や脛骨の内旋、膝関節の過伸展が強制され、ACLが起始部から剥離もしくは実質部が断裂するという背景が見受けられます。

ACLR後の理学療法を担当させていただく際は
・再建靭帯の修復過程を把握すること
・いつ頃から再建靭帯にどの程度のストレスをかけていけばいいのか
などといったことに注意しながら理学療法を進めさせていただいています。

ACLの動態やACLR後の理学療法については、多くの文献によって報告されています。今現在の知識だけでなく、さらに知識を深め、より良い理学療法を提供できるように日々努力していきたいと思います。



投稿者:高橋 蔵ノ助

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