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2016年7月5日火曜日

【文献紹介】ACL再建後の骨孔内の治癒過程について

本日は、BTBを用いたACL再建術後における、骨孔内での移植腱の治癒過程について文献を紹介します。


 長野 正憲・他:骨付き膝蓋腱による成犬膝前十字靭帯再建術後の骨孔内の治癒過程の組織学的検討.日関外誌17(4):315-322,1998.

対象は雑種成犬18匹で、BTBを用いてACL再建術を行います。術後1週、3週、6週、12週において4匹ずつ再建膝を試料として用いています。また、正常のACLと膝蓋腱の骨付着部の観察のために残りの2匹を使用しています。骨孔内の評価項目は以下の5項目となっています。
①移植腱端の骨片と骨孔の壁との界面
②移植腱内の腱付着部
③移植腱の腱部分と骨孔の壁との界面
④骨孔内での死腔
⑤骨孔内の腱実質部

結果ですが、①では術後1週で移植腱端は壊死しており破骨細胞が観察され、術後3週では骨芽細胞が観察され界面部の結合が進行していたとのことです。
②では正常のACLおよび膝蓋腱の骨付着部は、4層構造(腱(靭帯)、非石灰化線維軟骨層、石灰化線維軟骨層、骨)となっており、ACL再建術後においてもこの構造は保たれていたようです。
③においては術後1週より界面に線維組織層がみられ経時的に進行し、12週に関してはシャーピー線維が観察されたと報告されています。
④では術後1週より死腔を埋めるように線維組織が存在し、術後12週時点で線維組織は骨孔の長軸方向に位置する配列となり腱実質と類似する構造に成熟していたとのことです。
⑤では術後1週で壊死し、6週まで線維芽細胞の増殖が確認されたと報告されています。


この文献から移植腱と骨孔の固定性は術後3週、腱の強度は12週から獲得されていくことが考えられるかと思います。移植腱の固定性や強度はBTBでのACL再建術を受けた方の訓練内容にも影響する因子ですので、日々のリハビリに活かしたいです。しかし、犬を用いてでの検討であるため、あくまで目安としてみていく必要がありそうです。

投稿者:関本健太

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