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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年3月9日水曜日

腱板断裂肩における上腕二頭筋長頭腱の病態と処置

今回は、腱板断裂肩における上腕二頭筋長頭腱の病態と処置について記載されている論文を紹介したいと思います。





近年、鏡視下手術が普及してきておりLHBの損傷に伴う疼痛が再認識されてきているためLHBの腱固定または切離の適応が拡大しています。
臨床上でも腱板断裂に伴う上腕二頭筋長頭腱断裂の症例に遭遇することは稀ではないと思いますが、文献上でも腱固定か腱切離を行うかでは意見が分かれている印象があります。
この文献では、腱切離と固定に関しては、腱切離により屈曲と回外の筋力が20%低下するため高齢女性では腱切離を行い男性では腱固定を行うと報告しています。
LHBによる疼痛の原因は関節内で肥厚することにより、結節間溝部で滑走障害が生じ疼痛が出現しているとされています。手術の際に腱鞘を切離し結節間溝部を鏡視すると、LHB実質や腱鞘の血管増生が認められることが多く、同部位での強い炎症が示唆される所見が見られるとされています。そのため、LHBが術後の疼痛に関与するためLHBの処置の適応を拡大していると述べています。
しかし、臨床上LHBが肥厚していても疼痛が軽減する症例も存在するため肥厚だけが疼痛の原因ではないのではないかと考えています。
滑走障害による疼痛なのか肥厚することで内圧が上昇し疼痛が出現しているのかLHBとその他の組織とで摩擦が生じ疼痛が生じているのかなど色々考えられます。
理学療法を行う際にどういう状態であれば保存療法で結果を出すことができ、どの場合に手術適応かについて考える必要があるため、今後検討していきたいと考えています。


投稿者:団野翼





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