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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年7月11日土曜日

骨盤大腿リズムについて

今回は、股関節の屈曲に伴い、腰椎・骨盤がどの程度後弯し、後傾していくのかを調べた文献を紹介させていただきます。

古後 晴基 :股関節屈曲運動における寛骨大腿リズムおよび寛骨後傾左右差.理学療法科学 26(4):521524,2011


股関節の屈曲は、日整会が定める参考可動域ではおおよそ120°となっていますが、実際にはその可動域は、腰椎後弯による骨盤後傾が伴った可動域であり、寛骨と大腿骨で成す狭義の股関節固有の可動域ではありません。
この文献では、股関節の屈曲に伴って、骨盤がどの程度後傾するのかを、健常男性で検討されています。方法は股関節屈曲運動を行ってASISとPSISを結ぶ線が何度傾いたのかを測定し、実際の股関節の屈曲角度と比較してどの程度後傾したかをひかくするというシンプルな方法を用いられています。
結果、屈曲45°では1/7、90°では1/6、最大屈曲位では1/4程度の骨盤の後傾が生じたと報告されており、屈曲角度の増大に伴って徐々に骨盤後傾の割合が大きくなったことがわかります。
このことから、股関節を深屈曲に近づけていくには、より骨盤が後傾できるだけの腰椎の後弯可動域が必要であることがわかります。それとともに、股関節固有の可動域を測定する場合には、股関節屈曲初期から骨盤の固定が必要であるということも示唆されると思います。
股関節−骨盤−腰椎の関係は、肩でいう上腕骨−肩甲骨−胸椎の関係に近いものがあり、治療する上では切り離して考えてはいけないものだと思います。今後も、股関節の症例だから股関節、腰は腰ではなく、総合的に見ていける目を養っていこうと思います。



投稿者:為沢一弘

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