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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年7月4日土曜日

前・後上腕回旋動脈の起始、走行、分布に関する解剖学的知見

 今回は前・後上腕回旋動脈の起始、走行、分布に関する文献の紹介です。
魚水ら:前・後上腕回旋動脈の起始、走行、分布に関する解剖学的知見 肩関節2013.37巻第3号:911-913

 上腕骨頭や肩関節の血流には、腋窩動脈より分岐した前上腕回旋動脈(以下、Ac)および後上腕回旋動脈(以下、Pc)が関与すると言われています。臨床的には、夜間痛の病態とAc血流の変化の関係や、上腕骨近位部骨折後の骨頭壊死に対するPc損傷の関連等の報告があります。今回の文献ではAcならびにPcの走行と分布を肉眼解剖の手法を用いて解析されています。

 結果ではAcPcの本幹の走行は、烏口腕筋、上腕二頭筋腱短頭・長頭、大胸筋停止部、三角筋下包により隔てられていたと報告しています。また過去のAcPcの走行についての報告によると、Acは腋窩動脈から分岐し、烏口腕筋、上腕二頭筋、肩甲下筋に分岐しながら走行、肩関節包へ分岐し、Pcは三角筋内側を走行するとあります。AcPcは走行、分布が隔てられていることから、両血管の役割は補助的というよりも、Acは肩甲下筋と肩関節包、Pcは三角筋と三角筋下包に分布するといった独立した役割があるのではないかと考察されています。

 今回の文献を読んで、組織への血流に着目することで、夜間痛など疼痛の病態理解へつなげられるのではないかと感じました。また血管の走行の解剖学的知識を持つことで周辺組織へのアプローチが疼痛軽減に関わる一因子であると考えられるので、臨床において意識していきたいと思いました。

投稿者:服部隼人

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