COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年6月30日火曜日

前鋸筋の機能解剖学的研究

今回は前鋸筋の機能解剖についての文献を紹介します。




前鋸筋は肩関節挙上時や肩甲骨外転、上方回旋させ肩甲上腕リズムを生み出す重要な筋とされています。臨床上、肩関節に疾患の患者さんでは前鋸筋の上部線維にスパズムを生じている症例をよく経験します。
この文献の目的は、前鋸筋の上部・中部・下部筋束の神経支配と形態を調査し、長胸神経麻痺のメカニズムと前鋸筋の機能解剖を明らかにすることであるとされています。
解剖実習体を用いて前鋸筋の筋束や長胸神経の走行を評価されています。
結果は前鋸筋は肩甲挙筋や菱形筋と一体になり肩甲骨の上部から下部に付着していたと述べられています。このことから、前鋸筋の上部線維にアプローチする際には肩甲挙筋や菱形筋のアプローチも行う必要があるのではないかと考えられます。
解剖に促した治療を行えるよう、これからも解剖の勉強を行っていきたいと思います。


投稿者:団野翼

2015年6月28日日曜日

橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートの設置位置と術後の可動域の関係

今回は橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートの設置位置と術後の可動域の関係についての文献を紹介させていただきます。 清水隆昌ら:橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートの設置位置と術後の可動域の関係 骨折 第31巻 No.1 2009
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートは、軟骨下骨に遠位ロッキングスクリューを設置することで術後の矯正損失を防ぐことが可能であり、術後早期から可動域訓練が可能となるため良好な可動域が得られるなど、その有用性は数多く報告されています。 また掌側ロッキングプレートは様々な種類が存在しています。 今回の文献では異なった2種類の掌側ロッキングプレートの設置位置の違いが掌背屈の可動域にどう影響を与えるかを検討されています。AO分類にて骨折の分類を行い、プレートの設置位置、volar tilt、 radial inclination、ulnar variance、術後の掌背屈の可動域を検討項目として挙げられており相関が認められています。 橈骨遠位端骨折の画像所見から、骨折の程度や転位の仕方など以外にも術後のプレートの設置位置を評価することで軟部組織にどういった影響を与え、予後にどう影響するかを考えうる1つの指標になり得ると感じました。 投稿者:吉田雄大

第99回整形外科リハビリテーション学会定例会京滋支部(京都会場)が開催されました!

第99回整形外科リハビリテーション学会定例会京滋支部(京都会場)が開催されました!!


症例検討:橈骨遠位端骨折症例の理学療法方針について 竹下先生



レクチャー:手関節伸筋の触診 為沢先生


症例検討では、橈骨遠位端骨折術後1ヶ月で遠位橈尺関節の離開が認められていたため再手術になった一症例について検討しました。内容としては、現在残存している可動域制限に対しての詳細な評価方法や、遠位橈尺関節に対してリハビリを施行するにあたっての留意点などを検討しました。受傷後からは約8週間経過しており靭帯の修復過程を考慮すると安定してきている時期ではありますが、尺骨茎状突起の合併があること、再手術に至った経緯や遠位橈尺関節の不安定性のtestであるballottement test陽性であることから不安定性が考えられました。このことから、今後のアプローチとしては、手関節掌屈可動域の改善を優先させ、現在残存している拘縮の除去をしていくべきではないかという結論に至りました。
手関節は多くの軟部組織が存在するため、アプローチする軟部組織を絞るのが難しいと思います。今回、為沢先生のレクチャーでは、各組織の評価方法をレクチャーされた後に実技で各筋を触診しました。

当院では、手関節や手指の患者さんも診させて頂く機会が多々あります。あまり診られないという先生方も多いかもしれませんが、やはり一部だけでなく全身の触診が出来るという事は患者さんを診るということにも繋がると思います。これからも知識と技術の向上に努めていきたいと思います。

投稿者:一志有香







2015年6月27日土曜日

階段降段動作における健常者とACL損傷者との比較

 今回は階段降段動作における健常者とACL損傷者との比較に関する文献を紹介します。

木島ら:階段降段動作における健常者とACL損傷者との比較 理学療法科学20(2):127-132 2005

 前十字靭帯(以下ACL)損傷はスポーツによる膝損傷の中で占める割合が多く、およそ60%~80%に及ぶと言われています。ACL損傷の歩行分析による研究は数多く報告される中、階段昇降動作に関する研究はわずかであることに筆者らは着目しています。そこでACL損傷者の階段降段時動作における、下肢関節モーメントや関節角度の観点から損傷側の膝関節の代償が他関節で生じると仮説を立て、三次元動作分析システムと床反力計による動作分析手法を用いて計測し、検討しています。

 結果はACL損傷者の階段降段時には2つのパターンがあると報告しています。この2パターンの階段降段動作から膝関節の安定性に関わる要素を推測し、治療プログラムの立案につながるのではないかと考察しています。

 臨床現場において、動作観察から治療対象となる組織を推測することは問題点の解決に直結する重要な要素です。今回の文献の報告と実際の臨床における動作との比較をした上で、評価・治療につなげていければと感じました。

投稿者:服部隼人

2015年6月25日木曜日

肩関節の構造と機能について

こんばんは。
本日は肩関節の構造と機能の研究についてです。

高濱 照ら:肩関節の構造・機能の研究と理学療法.理学療法.2003年7月Vol20.No3:763-769,2003.

 本日紹介する文献は、肩関節の構造と機能を健常人の動作と御遺体による再現によって、挙上及び外旋への影響を研究してあります。
 内容としましては、健常人が楽に挙上で出来る水平内転角度や肩甲骨面挙上時の水平内転の角度を計測してあり、挙上制限となる因子についても検討されています。また、外転位における外旋強制を加えた際、どの要素が外旋制限となるのか、など肩関節疾患を臨床で見る上では重要な内容が論じられています。
 臨床においても、患者さんの動作が機能解剖的にどの様に影響しているかを考えながら望むことが重要だと思いました。

投稿者:中井亮佑

2015年6月18日木曜日

TKA後の合併症について

本日は人工膝関節全置換術後に生じた踵骨疲労骨折についてです。
石倉久年:人工膝関節全置換術後に生じた踵骨疲労骨折の2例.
東日本整災会誌,Vol25 No2:228-231,2013.
 
 人工膝関節全置換術(以下、TKA)は、膝関節の疼痛を改善することを主目的とし、歩行能力の改善や生活の質の改善に重要な役割を果たすとされており、臨床において多く経験します。
 
 TKA後の合併症として疲労骨折が挙げられ、脛骨顆部や膝蓋骨などの報告がありますが、本論文では踵骨の疲労骨折の経験を基に症例報告をされています。
 TKAの施行による影響を考えてみると、術前とは異なった歩容や姿勢となる事が想像されます。これらが要因となって、あらゆる骨にかかる負荷が変化し、疲労骨折の誘因となったのではないかと考えました。
 踵骨疲労骨折の合併症は稀だそうですが、TKA後の患者さんには踵骨部の痛みに配慮しつつ、今後の臨床に臨みたいと思います。

投稿者:中井亮佑

ulnocarpal stress test について



Journal of Hand Surgery 22B:6:719-723
 


本日は、ulnocarpal stress test について報告された文献を紹介します。

ulnocarpal stress testは、前腕回内位や回外位で手関節を尺屈強制するテストであり、陽性の場合は手関節の尺側部に疼痛が誘発されます。

本文献では、レントゲンやMRI、関節鏡を通して、本テストで陽性を認めた患者の手関節の病態について調査されています。

レントゲンからは、ulnar varianceが健側よりもプラスを示したり、DRUJに掌側・背側亜脱臼を認めたとのこと。MRIT1強調像では月状骨の近位尺側面が低輝度を示したとのこと。関節鏡ではTFCの摩耗や滑液の増大、軟骨遊離体を認めたとのことでした。

本テストで陽性を示す手関節の病態は様々なようです。

本テストが陽性な症例の画像所見をみる際は、参考にしたいと思います。

 

投稿者:竹下真広

2015年6月14日日曜日

スポーツ選手の肩関節前方不安定症に対するLatarjet法の治療成績


今回はスポーツ選手の肩関節前方不安定症に対するLatarjet法の治療成績についての文献を紹介させていただきます。

 

日山鐘浩ら:スポーツ選手の肩関節前方不安定症に対するLatarjet法の治療成績

JOSKAS  Vol.40  No.1  2015


外傷性肩関節前方不安定症の要因として関節包断裂による下関節上腕靭帯の機能不全が挙げられ、他の競技と比べてコンタクトスポーツの肩関節前方不安定症に対する鏡視下Bankart修復術では再脱臼率が高いとの報告が散見されます。

今回の文献では肩関節前方不安定症を有したスポーツ選手にLatarjet法を施行した成績を報告するとともに、Latarjet法、Bankart修復術、直視下Bankart修復術+Bristow法、の3つの手術法の術後再脱臼率、競技復帰までの期間などを比較・検討されています。

またその結果からどの手術法がスポーツ復帰に適しているかということを考察されています。

同じ疾患に対する手術であってもそれぞれに一長一短があり、その特徴を理解しておくことが重要であると感じました。

 

投稿者:吉田雄大

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