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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年4月12日日曜日

THA後の脱臼リスクについて

今回はTHA術後の脱臼リスクについての文献を紹介させていただきます。




川那辺圭一:THA後の脱臼.関節外科,Vol.31,No.2:32-37,2012



THA術後の脱臼は、THA術後患者全体の2〜10%と報告されています。
脱臼の原因は様々とされていますが、最も多い原因である、コンポーネントの設置異常でインピンジメントが生じ脱臼に繋がる割合は50%程度であると述べられています。
術後のオシレーションアングルが大きくなるとインピンジメントを生じにくくなり、オシレーションアングルが小さくなるとインピンジメントを生じやすくなるとも言われています。



では、コンポーネントの設置角はどの程度が正常であると言われているのでしょうか?


平塚徳彦ら:人工股関節の可動域の安全域の検討.整形外科と災害外科,Vol46,No1:179-184,1997


この文献では、THAのカップの角度を変化させた時に、股関節の可動性はどのように変化するのかを検討しています。
結論では、前額面でのカップの外開き角が50〜60°、矢状面での前開き角が10°〜20°に設定した時が可動域が大きくなり、ネックとライナーでのインピンジメントを回避しやすいのではと述べています。(外方傾斜角(外開き角)は40°、前方開角が20°程度が最適と報告もあり)




水平面上での前方開角に関して、total anteversion(水平面上からみたカップ前方開角+ステム前捻角)が40°未満あるいは60°以上の場合、脱臼のリスクが6.9倍になるという報告がされています。
Jolles BM:Factors predisposing to dislocation after primary total hip arthroplasty: a multivariate analysis.J Arthroplasty,17(3), :282-288,2002




カップの前方開角は10°〜20°、大腿骨ステムの前捻角は10°が至適設置角であるとの報告も見られます。
 関 真人:人工股関節置換術におけ るソケット至適設置角度解析.Hip Joint,23:467- 469,1997




文献によって、報告される角度にはやや幅はありますが、おおよその安全域は上記の辺りにあるのではないかと思います。そのため、術後の脱臼リスクの確認や、理学療法内容や方針の決定、脱臼してしまった患者様の理学療法内容の検討を行うのに、これらの角度を念頭においた上で画像を見る必要があると考えます。




投稿者:為沢 一弘




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