COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2014年12月27日土曜日

ACL再建術後における破断強度の継時的変化について

今回は、ACL再建術後における破断強度が、継時的にどのように変化するかを継時的に研究した論文を紹介させていただきます。

当院でも、ACL再建術後の患者は非常に多く、リハビリを行いますが、知識として、破断強度が変化することは知っているものの、その元となる文献を最後までしっかりと読んだことがなかったので、今回はこの機会に目を通しました。


Weiler A. et al.Tendon Healing in a Bone Tunnel. Part I: Biomechanical Results After Biodegradable Interference Fit Fixation in a Model of Anterior Cruciate Ligament Reconstruction in Sheep .The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 18, No 2 (February), 2002: pp 113–123



 この文献では、ヒツジの膝を用いたACL再建モデルをつくり、固定強度について、固定直後、6週、9週、12週、24週、52週時点での脛骨前方引き出しに対する、ACLの破断強度を調べています。


結果として、固定直後と比較して、6週、9週では破断強度が有為に低下し6週の時点では再建された腱自体の剛性も低下していることがわかりました。12週時点になると破断強度も剛性も固定直後と同程度まで改善し、その後は固定直後以上の強度に変化しています。

また、固定直後では大腿骨や脛骨の骨孔からの引き抜きが生じているのに対して、6週・9週時点では、腱実質の断裂が生じやすいとされています。


この文献を通して、ACL再建術後の患者様において、再建後12週までの間は、移植腱の断裂のリスクを踏まえて、腱実質にストレスのかかるような運動は避けながら、可動域拡大と筋力増強を行っていくことが必要であると再認識できました。
新しい知識を付けていくとともに、今まである知識の再認識行い、自分の知識として定着させることは大事なことだと感じています。これからも、このような作業を続けていこうと思います。



投稿者:為沢 一弘


2014年12月22日月曜日

HORSS 第4回研修会 腱板断裂の保存療法と手術療法

HORSS主催の第4回研修会のご案内です。
今回のテーマは「腱板断裂の保存療法と手術療法」です。




講師:小野志操先生(京都下鴨病院)
    蓮大輔先生(ツカザキ病院)

場所:姫路市勤労市民会館

日時:平成27年1月9日(金)

時間:19:00~21:00

申込期間:平成26年10月10日~11月9日まで
(定員に達し次第、受付終了)

参加費:500

お申し込みHORSSホームページより
http://horss.jimdo.com


投稿者:団野 翼


2014年12月21日日曜日

関西ブロック全国研修会のご案内



整形外科リハビリテーション学会の関西ブロック全国研修会の申し込みが開始されました。

第3回目になる関西ブロックでの研修会は、「腰部周囲の機能解剖学的触診と腰痛の評価と治療」をテーマに、整形外科リハビリテーション学会の理事の先生方が様々なお話をして下さいます。場所は、今回も神戸にて2日間開催されます。


腰痛は、身近によく目にする疾患でありながら、様々な病態をしっかりとカテゴライズして評価・治療に当たっている病院は少ないのではないかと感じます。
今回は、数ある腰痛の症状について、その原因や病態、症状など機能解剖学的な視点から細分化してお話いただき、その評価や治療に関する話もしていただけると思います。
次の日から臨床で使える知識と技術が盛りだくさんになると思いますので、ご興味がおありの先生方は是非ともお早めにご応募ください。


(定員は100名です。過去2回とも数多くの先生方にご参加いただいているため、今回も、定員に達し次第受付をお断りさせていただくことになってしまいます。)



詳細の確認とお申し込みは、京滋支部(近江理学療法勉強会)ホームページよりお願い致します。

ホームページ http://www.omirigaku.com/kansaiblock.html



投稿者:為沢 一弘


 

2014年12月14日日曜日

整形リハ学会 シンポジウム

本日は、名古屋の国際会議場で開催される、整形外科リハビリテーション学会主催の年に一度のシンポジウムに参加してきました。

        



午前中には9月の学術集会では発表しきれなかった方々の症例検討が10題あり、それぞれが一症例一症例を細かく評価・治療をされた結果を発表されました。



昼食後には、本題のシンポジウムが行われました。



内容はBasicとAdvanceに分かれており、
まずBasicでは「膝伸展制限の評価と治療」を題材に、

土浦協同病院の橋本貴幸先生が「伸展制限のデメリット」

吉田整形外科病院の林優先生が「関節性障害」

野口整形外科内科医院の刈谷賢二先生が「筋性障害」

大久保病院の稲葉将史先生が「インピンジメント障害」

について、機能解剖や病態に関してわかりやすくお話してくださり、伸展制限を改善する為に必要な知識や評価の方法、治療に関して勉強することができました。



       



その後、Advanceでは、「足関節・足部の痛みの解釈」を題材に

中部学院大学の林典雄先生が「アキレス腱周囲の疼痛の解釈」

大久保病院の山本昌樹先生が「踵部痛の疼痛の解釈」

土浦協同病院の村野勇先生が「足関節前方部痛の疼痛の解釈」

吉田整形外科病院の中宿伸哉先生が「前足部痛の疼痛の解釈」

について講義していただきました。


       


それぞれの病態について、エコーや機能解剖などの最新の知見を踏まえて、噛み砕いてお話をしていただいた後、ディスカッション形式での質疑応答がなされました。


今回も、シンポジウムに参加して、詳細な解剖の知識と触診、評価能力を高めることが、精度の高い治療と結果に繋がるということを改めて勉強させていただきました。
明日からの臨床は、より気を引き締めて精進していこうと思います!



投稿者:為沢 一弘


2014年12月10日水曜日

TFCC fovea付着部損傷に対する装具療法

本日は、TFCC尺骨小窩付着部損傷に対する装具療法について報告された文献を紹介します。


日手会誌,第30巻 第3号 300-302,2013

TFCC損傷に対する保存療法として、装具療法は諸々の報告から有効であるとされています。しかしTFCC尺骨小窩付着部損傷の場合は、その解剖学的特徴からDRUJの不安定性を伴うことが多く、保存療法に抵抗した際は手術へ移行することも多いようです。

本文献では、TFCC尺骨小窩付着部損傷であっても、可及的早期(受傷から2か月以内)TFCC装具の装着を開始した症例では疼痛が有意に改善したと報告されています。

 

本文献では手関節骨折を除外したTFCC単独損傷症例を対象としていますが、TFCC尺骨小窩付着部の損傷は、治療する機会の多い橈骨遠位端骨折に合併して存在する症例も多いのではないかと思います。手関節や手指の機能ばかりに気を取られがちな私ですが、早期にfovea signDRUJ ballottement test等の理学所見をしっかりととり、DRUJに起因した疼痛が残存することがないように今後も注意したいと思います。

 
 
 
投稿者:竹下真広

2014年12月9日火曜日

シンポジウムのご案内

今週の日曜日に整形外科リハビリテーション学会シンポジウムが開催されます。





場所:名古屋国際会議場にて開催

スケジュール:
【午前】
 8:30 受付開始
 9:30~10:40 演題発表
 10:40~10:50 休憩
 10:50~12:00 演題発表
 12:00~13:00 昼休み
 13:00~13:30 総会、表彰


【午後】
13:40~15:00 Basic 膝伸展制限の評価と治療
座長:赤羽根良和先生(さとう整形外科)

 ①伸展制限のデメリット 橋本貴幸先生  (土浦協同病院)

 ②関節性障害 林優先生  (吉田整形外科病院)

 ③筋性障害 苅谷賢二先生  (野口整形外科内科医院)

 ④インピンジメント障害 稲葉将史先生  (大久保病院)


 15:10~17:00 Advance 足関節足部の痛みの解釈
座長:浅野昭裕先生 (碧南市民病院)

①アキレス腱周囲の疼痛の解釈 林典雄先生  (中部学院大学)

②踵部痛の疼痛の解釈 山本昌樹先生 (大久保病院)

③足関節前方部痛の疼痛の解釈 村野勇先生  (土浦協同病院)

④前足部痛の疼痛の解釈 中宿伸哉先生 (吉田整形外科病院)


今回のシンポジウムも内容の濃いお話が聞けると思いますので是非お時間のある先生方は参加されてみてはいかがでしょうか。




2014年12月4日木曜日

外閉鎖筋のリラクゼーション


してない方。




した方。




どうですか!!この団野先生のどや顔。笑
あっ!ではなくて、この内旋可動域の違い!!
これは、タイトルにもあるように、外閉鎖筋のみリラクセーションした方としていない方の違いです。
ちなみに、実際にリラクセーションされたのは、、、





小野先生です。笑

外閉鎖筋は、閉鎖孔の内側骨縁の外面と閉鎖膜から起こり、転子窩に停止します。たまに股関節包にも停止するという研究も有ります。
また、股関節屈曲・内転・内旋時には、梨状筋や内閉鎖筋に比べて外閉鎖筋が最も伸張されるという報告もあります。
FAIの治療診断に用いられるanterior impingement testは、この肢位にあたり、外閉鎖筋が硬くなっていることがこのtestを陽性にさせることがあります。実際、この写真の被検者は、外閉鎖筋のリラクセーション後、屈曲・内転・内旋可動域が増大し股関節前面の詰まり感が減少しました。
一概に、これだけが原因とは言えませんが、まだまだ解明されていないFAIの治療の一助になるかもしれません。
外閉鎖筋の触診は、なかなか難しいですがコツコツ練習すればできるようになるはずです☆☆ 
当院でも、日々色々な方法を試し切磋琢磨しております。私自身も色々な方法をもっと考えていきたいと思います!!
I can do it !!  You can do it !!








2014年12月3日水曜日

Reverse Total Shoulder Arthroplasty

本日は、Reverse Total Shoulder Arthroplasty(以下rTSA)術後のリハビリについて記載された文献を紹介します。

JOURNAL OF ORTHOPAEDIC & SPORTS PHYSICAL THERAPY
vol.37(12) 2007 734-743

理学療法士は、rTSA術後のリハビリに影響を及ぼし得る、インプラントのタイプや残存した腱板の状態、総体的なコンポーネントの安定性などの要因を把握する必要があります。

rTSA患者を治療する際には、特に①関節の保護、②三角筋機能、③肩関節術後の機能的予後の確立 の3つを考慮すべきと述べています。

    術後の脱臼を回避するために適切なポジショニングや運動が必要である。結帯動作のような肩関節伸展位から内転・内旋方向の運動はコンポーネントが前下方に脱臼する可能性があるため、特に術後12週までは要注意のようです。

    欠損した腱板筋群を補うために、肩甲帯周囲筋や三角筋機能の向上が重要であるようです。

    少なくとも105°の自動挙上角度は獲得できるが、健側肩と同等の自動挙上角度の獲得は期待できず、肩自動屈曲において外旋筋力の弱化が問題になるため、小円筋の機能が重要であるようです。


現在rTSA患者を一症例担当させていただいております。まだまだ勉強不足なので、たくさん文献を読んで良好な経過が得られるよう頑張ります。

 

投稿者:竹下真広


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